技術ジャーナリストのトミー・カミングスが、毎週、設計エンジニアにとって興味深い「旬の」トピックを取り上げます。
世界の食糧供給への不安が広がるなか、「賢い」農業が重要になっています。
もちろん、これには農業に関連するテクノロジーの最適化が求められます。何しろ世界中に食糧を供給しなければならないわけですから。
過去何十年にもわたって、開発者たちはより効率的に食糧を生産できるツールを開発し、改良を重ねてきました。また設計者たちもあらゆる資源をより有効に活用し、人間を単調な作業から解放し、収穫量も増やせるよう、最新テクノロジーを駆使してきました。農産工業では、不毛な砂漠や海水地帯にも生産地を拡大しようとする取り組みが始まり、新たな課題が浮上するなか、こうしたテクノロジーは今、ますます成長を続けています。
スマート農業を実現するテクノロジーには、モノのインターネット(IoT)ベースのセンサーネットワーク、位相追跡、天気予報、自動灌漑、光と熱の制御、人工知能(AI)、機械学習、ロボット、ドローンなどがあります。
また、ソリューションも数多くあり、園芸照明用LED、フィールド機器の周波数を上げる内蔵アンテナ、植物の成長と健康を監視するIoTベースのセンサネットワークなどがあります。
今週のニューテック・チューズデーでは、スマート農業アプリケーションに採用されているCree LED、Laird Connectivity、Amphenol Advanced Sensorsの新製品を紹介します。
Cree LED XLamp® XP-G3 Sライン フォトレッドLED は、センサとスイッチングが一般的な園芸照明アプリケーションに最適です。このLEDは、660nmの波長、350mAで500mW~525mWの最小放射束を特徴としています。3.45mm2 XPプラットフォームには、光学部品とシステムソリューションのエコシステムがあり、メーカーは設計プロセスを簡素化し、市場投入までの時間を短縮できます。また、LEDは25°Cでビニングされ、125°の広い視野角を備えています。
Laird ConnectivityのFlexPIFA 6E Wi-Fi®トリプルバンド内蔵アンテナは、スペースに制約のあるデバイスやハウジングに迅速に統合することができます。従来のWi-Fi®周波数をカバーする理想的なソリューションであり、また、将来の新しいWi-Fi 6Eアプリケーションにも対応するよう設計されています。柔軟で粘着剤付きのこのアンテナは、MHF1コネクタを備えており、IoT機器メーカーに複数の設置ソリューションを提供します。採用された板状逆F型アンテナ(PIFA)技術は、3つのWi-Fi帯域(2400MHz~2500MHz、4900MHz~5925MHz、5925MHz~7125MHz)すべてで使用できます。アプリケーションには、農業や農村地域での農場センシングおよび制御などがあります。
Amphenol Advanced Sensorsの屋内農業スマート温室環境監視および制御ソリューションは、屋内農業施設や温室における植物の成長と健康に最適な環境条件を維持するのに役立ちます。このセンサは、温度、湿度、周囲光と共に、二酸化炭素(CO2)濃度を監視・制御するという重要な機能を提供します。高品質CO2センサを適所に配置することにより、有線または無線の屋内農業環境制御システムは、他の環境パラメータと連携して最適なCO2設定値を監視・維持することができます。
スマート農業ソリューションの開発において、設計エンジニアには「賢い」判断が求められています。園芸用LED、フィールド機器用内蔵アンテナ、植物の健康状態を監視するIoTベースのセンサネットワークなど、スマート農業を実現する製品を活用し、スマート農業ソリューションを開発すれば、収穫量を劇的に増加させることができるのです。世界の食糧問題もこれで軽減できるかもしれません。
トニー・カミングスは、米国テキサス州在住のフリーランスライター兼編集者。ジャーナリスト歴は40年以上におよび、 現在、Texas Monthly誌、Oklahoma Today誌にて執筆中。過去にDallas Morning News紙、Fort Worth Star-Telegram紙、San Francisco Chronicle紙などでの執筆経験を持つ。シリコンバレーのドットコム・ブームを取材し、さまざまなメディアでデジタルコンテンツやオーディエンスエンゲージメント編集に携わる。2018年から2021年までマウザー・エレクトロニクスにてテクニカルコンテンツ・プロダクトコンテンツ・スペシャリストとして勤務。