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2024年に飛躍が期待される注目のテクノロジー Carolyn Mathas

2024年注目の技術トレンドを紹介

新しい年を迎え、今年もテクノロジーの世界は、イノベーションの進化と新たな可能性で溢れています。さまざまな革新的技術によって、人々の暮らしが変わり、多くの分野で変革が生まれようとしている中、マウザーは2024年に期待できる技術的進化について予測してみました。この記事では、非公式ながら当社独自の視点で選んだ、今年、注目すべきテクノロジーをご紹介します。

 

 

進むスマートホームの相互運用性

 

長い間、人々はスマートホームの実現を夢見てきましたが、その開発はメーカーごとに独自の仕様で行われてきました。幸いにも、相互運用性と統合が進み、もはや非互換性は過去のものになりつつあります。2022年のスマートホーム共通規格「Matter」のリリースにより、1つのハブまたはスマートフォンを使用して、さまざまなデバイスを迅速に設定し快適に使えるようになりました。Matterにより、特定のエコシステムに依存せずに、接続を拡張することも可能になります。特に、最新のアップデートであるMatter 1.2では、家電製品や安全機器が含まれるようになり、接続オプションがさらに増えています。2024年に向けて、アップデートが今後も展開され、Matterによって実現する包括的なスマートホームのコンセプトがさらに普及することが期待されます。

 

生成AI(料理にも活用)

 

生成AIがどのように世界を変えるか(あるいは破壊するか)については、すでに多くの人々が意見を述べているため、今さら取り上げるまでもないのかもしれません。ただし、当社のエンジニアが最近、レシピにすぐにアクセスできるという新たな使用例を見つけました。

「フードブロガーたちは、ありきたりのレシピでも、Googleアルゴリズムがコンテンツに報酬を与えてくれるよう、レシピの表示の前に、自分のポテトスープがいかに特別で、ネット上のどのレシピよりも美味しいかについて長々と書き綴ります。こちらは、レシピが見たいだけなので、長いおしゃべりにうんざりし、いつもバナー広告に隠れている「レシピにジャンプ」ボタンを探します。ところが、ChatGPTにポテトスープのレシピを尋ねると、端的な答えが直ちに返ってきました。何にも煩わされることなく、美味しい料理がすぐに作れたのです。」

 

 

生体認証・パスキーによるパスワードのない未来

 

パスワードを忘れてリセットしたり、ハッカーにパスワードを破られてしまい、大変なことになった経験はありませんか。ガートナー社の予測によると、2025年までに労働人口の50%以上、顧客認証取引の20%以上がパスワードレスになると言われています。”1 AIによって、さらに複雑化するサイバー攻撃が増加しますが、その一方で、生体認証を用いたAIベースのアプローチによる新しい標準とセキュリティを強化する動きも生まれています。これまでのところ、Google、Instacart、LinkedIn、PayPal、TikTok、Whatsapp、Xなどの消費者向け大手企業がすでにパスキーを導入しており、この動きは2024年にますます広がってゆくはずです。常に新しいサイバー攻撃が生まれるなか、セキュリティの責任から私たち個人はやっと解放されるのです。

 

 

脳の可能性を解き放つ

 

極めて興味深い分野があります。現在、その応用が大幅に進んでいるブレイン・コンピュータ・インターフェイス(BCI)です。BCIが脳卒中、麻痺、外傷の患者に大きな希望をもたらしていることが常に報じられています。では、実用化はどうであるかと言えば、かなりのスピードで進んでいます。例えば、イーロン・マスクのNeuralink社は、FDAから治験機器免除(IDE)を取得し、完全埋め込み型ワイヤレスBCIの初の臨床試験に向けて治験者を多数募集しています。2024年は医療分野での進歩だけでなく、非医療分野での応用がどれほど加速するかにも注目したいところです。

BCI技術は医療への応用にとどまらず、コミュニケーション、教育、エンターテインメントといったエキサイティングな分野にも急速に広がっています。2024年に向けて、世界は驚くべきものを目の当たりにすることになるでしょう。BCIを使えば、考えるだけでガジェットを操作できるようになるかもしれず、これにより、暮らしが大きく変わることになるはずです。ゲームやVRにどのような革命をもたらすか考えてみてください。新しい次元の没入体験が生まれるでしょう。さらに、BCIを使って学習や認知能力を向上させることも重要です。このような開発は、単に最先端で刺激的なだけでなく、人間とコンピュータの相互作用について真剣な議論を開くものです。

 

働くロボットから考えるロボットへ

 

人間とロボットの共存がますます進んでいますが、今のところ、ロボットは依然として人間のために働いています。ロボットは倉庫の中の物を運んだり、ドリンクを注いだり、人命の救助や捜索を行いますが、これらはすべて模倣によります。

今年は、2023年の進歩に基づき、ロボットのさらなる可能性が注目されるでしょう。2024年には、1秒間に約228兆回のシナプス演算を行うという、人間の頭脳に極めて近い能力を持つスーパーコンピュータ「DeepSouth」が誕生する予定です。DeepSouthはオーストラリアの研究者によって開発されており、センシング、生物医学研究、ロボット工学、宇宙探査、大規模なAIアプリの進歩に貢献することが期待されています。では、ロボットは人間の介入なしに学習することで、新たな課題を克服し、進化を遂げてゆくのでしょうか。今後の展開が楽しみ(あるいは恐ろしい)です。

私たちの暮らしにロボットを取り入れることは、ますます高度で複雑になってきています。2024年は、ロボットが自動化されたツールから進化し、自律的な意思決定者として能力を発揮しはじめる、画期的な年になると予想されています。新しい環境を学習し適応できるAI駆動ロボットのような進歩により、従来の人間とロボットの関係は変化しつつあります。ロボットは現在、複雑な問題解決やリアルタイムのデータ分析に基づく意思決定など、より複雑なタスクを実行できるようになっています。この進化は産業界にとどまらず、日々の暮らしにも浸透し、私たちのテクノロジーとの関わり方を変えてゆきます。

 

 

その他には?

 

もちろん、2024年に進歩が期待できるテクノロジーはこれだけではありません。環境技術、量子コンピューティングなど、その他の技術も大きな飛躍を遂げるでしょう。ここに紹介したものは、あくまでも個人と社会への大きな影響を考慮した上で、私たちが特に期待しているテクノロジーです。

 

出典

 

1.Rosch, Fran."Embracing The End Of The Password Here And Now."

https://www.forbes.com/, March 23, 2023

https://www.forbes.com/sites/forbestechcouncil/2023/03/23/embracing-the-end-of-the-password-here-and-now/?sh=138cb30c30e2

 

執筆者について

 

Carolyn Mathasは、United Business Media社のEDNおよびEE Times、IHS 360、AspenCoreなどのWeb媒体のほか、企業向けに執筆活動を行うフリーランスライター/サイトエディター。過去にSecurealink社、Micrium, Inc.社にてマーケティング担当ディレクターを歴任し、Philips、Altera、Boulder Creek Engineering、Lucent Technologiesの広報、マーケティング、執筆サービスを担当。フェニックス大学にて理学士号(マーケティング専攻)、ニューヨーク工科大学にてMBAを取得。

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