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拡張現実(AR)、ロボット、パワードスーツ、ドローン Hector Barresi

産業オートメーションにおける新たなテクノロジー

 

 

インダストリー5.0の最大の特徴の1つは、生産サイクルをより効率的で持続可能かつ効果的なプロセスにするために、幅広い先進技術が採用されることです。今後、製造業に最も大きな影響を及ぼす可能性のある技術として、拡張現実(AR)、ロボット、パワードスーツ、ドローンが挙げられます。

いずれの技術も、さまざまな恩恵をもたらすものですが、各技術の融合とその相乗効果、さらには作業員との連携こそが、インダストリー5.0を支える基盤になると言われています。この記事では、こうした技術が次世代の産業オートメーションでどのように活用されるのか、また、その技術的進歩によって製造業はどのような恩恵を受けるのかについて解説します。

 

拡張現実

 

拡張現実(AR)は、インダストリー5.0を牽引する重要な技術革新の1つと考えられています。AR技術は、最先端のハードウェア、光学技術、データ処理、ソフトウェアを駆使して、デジタル要素と現実の環境を融合させます。さらに、リアルタイムのデータ収集と双方向のフィードバックシステムにより、現場作業員の能力を強化し、産業プロセスを向上させます。

インダストリー5.0におけるARの主な影響の1つは、品質管理における検査プロセスの変革です。これまで人間の目視に頼っていたこのプロセスは、ARによって視覚検査が強化され、劇的に向上してきています。例えば、ARは、現実の対象物にデジタル情報を重ねて表示し、許容レベルや欠陥、組立指示などを可視化することができます。これにより、入荷材料の検査が迅速化され、期待される基準からの逸脱が明らかになることで、より高い精度が実現します。

ARは、組立作業や保守作業において、作業員の視野内に作業手順をステップごとに直接表示することで、複雑な製造作業を支援します。これにより、ミスが減り、トレーニングが効率化され、作業効率が大幅に向上します。

しかし、ARを製造業務に導入するには、大きな課題もあります。

最大の課題は、ARハードウェアとシームレスに連携し、複雑な産業データを効率的に処理・表示できる高性能なソフトウェアを開発することです。表示される情報が的確で業務に役立つものとなるよう、ソフトウェアは直感的でそれぞれの製造用途に特化したものでなければなりません。

 

ロボット

 

1960年代の誕生以来、ロボットは製造業に欠かせない自動化ツールとして利用されてきました。しかし、インダスリー5.0の到来により、ロボットは今や新たな役割を期待されています。

今日、ロボットには、はんだ付け、塗装、接着作業を行うために、グリッパー、吸盤、カッターなどの特殊なアーム先端ツールが装備されています。このような最新のロボットは、複雑な組立作業を高い精度で実行することができ、以前は不可能だった作業の自動化も可能にしています。

また、ロボットはサイズと能力の面でも多様化しており、これに伴いアクチュエーション技術も進歩しています。大型のロボットは油圧システムに依存していることが多い一方で、中型のモデルでは空気圧アクチュエータが使用され、最新のロボットのほとんどは電動アクチュエータを採用しています。インダストリー5.0の枠組みでは、電動アクチュエータは特に有益です。というのも、モノのインターネット(IoT)との統合が容易であるため、接続性、人の可視性、制御性を向上させることができるからです。

インダストリー5.0におけるロボットで特に画期的なのは、一般的にコボットとして知られる協働ロボットの登場です。コボットは、作業と役割を分担しながら、人間と肩を並べて作業するように設計されています(1)。例えば、製造ラインでの重労働や反復作業はコボットに任せることで、人間は細かい調整や品質管理に専念することができます。

1:コボットは、人間とロボットの協働による生産性の向上を通じて、インダストリー5.0による人間中心の自動化アプローチに貢献します。

今後、インダストリー5.0がさらに進展するにつれて、人間とロボットのインタラクションは、より統合されたインテリジェントなシステムへと進化していくでしょう。ロボットは、作業だけではなく、感覚入力や意思決定プロセスを共有し、人間と機械の能力の境界線をあいまいにしていきます。最終的には、この相乗効果により、作業効率が向上し、人的ミスが減少し、人間とロボットのインタラクションによって創造的・分析的作業が強化される環境が構築されてゆくでしょう。

 

パワードスーツ

 

人間の安全と能力の面で、インダストリー5.0に画期的な変化をもたらすとされているのが、「パワードスーツ(外骨格)」技術です。パワードスーツとは、着用者の筋力や持久力を補助し、増強するウェアラブルデバイスです。モーターやバッテリーパックを搭載した「アクティブ型パワードスーツ」は、通常の人間の能力を超える作業を行う際に、着用者の筋力を増強し、作業負担を軽減します。これにより、作業者はより重量のある荷物を扱うことが可能になり、反復作業による疲労もないため、作業効率が向上し、負傷リスクも低減します。

インダストリー5.0におけるパワードスーツの大きな利点の1つは、肉体的な重労働を「民主化」できる可能性があることです。パワードスーツは人間の筋力を増強することで、幅広い人々が肉体的に過酷な作業にも対応できるようになります。より多くの人々が作業に参加できるようになれば、各業界の労働力不足を解消でき、労働力の多様性の向上にもつながります。

ただし、パワードスーツの可能性を最大限に発揮するには、いくつかの課題に対応しなければなりません。装着感や人間工学的な快適性は極めて重要です。快適に装着できて自然な動作ができるためには、現在のパワードスーツにはかなりの調整が必要になります。設計上の改良とカーボンファイバーなどの軽量素材の採用が、より利用しやすく、着用感の優れたパワードスーツの実現につながるはずです。

もう1つの課題は、応答性と直感的な操作性能です。パワードスーツは、作業員の動作と意図を正確に遅延なく認識できなければなりません。パワードスーツをまるで自分の体の延長のように機能させるためには、人間の意図と機械の動作を連携させる先進的なセンサと人工知能アルゴリズムが必要になります。

 

ドローン

 

インダストリー5.0では、ドローンが在庫管理、安全性、品質管理に大きな影響を与えることが期待されています。

従来の在庫管理の方法では、何百もの箱や容器がさまざまな場所に保管されているような、今日の倉庫の高い要求に応えるのは困難でした。そこで登場したのが、高精度センサと画像機能を搭載したドローンです。ドローンは、スマートタグやQRコードを読み取り、広大な倉庫内を保管場所まで移動する新たな手段となります(2)。また、ドローンは在庫場所と在庫状況をリアルタイムで効率的に追跡・管理できます。従来の在庫管理と比較すると、危険区域に人間が立ち入る必要が減り、より迅速で詳細、かつより正確なデータ収集が可能になります。

2:ドローン技術により、製造業はかつてないほど効率的に品質管理検査や在庫管理を行うことができます。

自動車業界においても、ドローンはさまざまな製造段階で車両の空中検査に活用することができ、品質管理の向上に貢献します。例えば、高解像度のカメラやセンサを搭載したドローンは、へこみや傷、塗装の不具合など、車体の欠陥を検出することができます。

ドローンが収集したこのリアルタイムのデータを先進的な品質管理システムに連携させることで、高度なアルゴリズムが画像を解析し、異常や欠陥を検出することができます。このプロセスにより、欠陥の見落としを排除しながら検査の精度と安全性を高め、品質管理プロセスを大幅に迅速化することができます。

 

まとめ

 

インダストリー5.0が本格化するにつれ、AR、ロボット、パワードスーツ、ドローンが重要な役割を担うようになります。これらの技術は、生産性の向上、人的ミスの削減、働く人のためのより安全な作業環境の構築など、インダストリー5.0と同じ目標を目指しており、今後、スマート工場の未来を支える重要な柱となるはずです。



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