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スピードアップだけじゃない! IoTでも大活躍の5G Steven Keeping

5Gはモバイル通信だけでなく、DECT-2020 NRなどの技術によりIoTを強化します。(画像: THANANIT - stock.adobe.com)
 

モバイル通信は、「世代」を重ねながら進化の道をたどってきました。後から「第0世代(0G)」と呼ばれるようになった、セルラー方式以前のアナログ通信から始まり、その歴史はさまざまな変遷を経て、今日に至っています。

モバイル通信の歴史が本格的に始まったのは、1970年代後半から80年代前半にかけてアナログ/デジタル技術が発展してからでした。第1世代の「1G」は、通話にアナログ無線を使い、バックホールにデジタル方式を使うセルラー移動通信を採用していました。1990年代前半になると、完全にデジタル方式を採用した「2G」が登場し、 さらに21世紀に入る前には、やがてスマートフォンの出現をもたらすことになる、より高いスループットの「3G」(2.5Gと2.75Gによる機能拡張を基本に構築)が現れました。3Gの機能強化により、速度が大幅に向上し、モバイルインターネットやストリーミングビデオにも対応できるようになりました。

LTE(Long Term Evolution)規格に基づく4Gが導入されたのは、2009年、スカンジナビアでした。以来、4Gは世界中の多くの地域に展開されており、現在最も普及しているモバイル通信規格です。最大スループットは3Gが15Mbps程度であるのに対し、4Gは 100Mbpsで、ハイビジョン映像やオンラインゲーム、ビデオ会議にも対応します。

そして5Gが登場しました。規格は2016年に公開され、 5Gネットワークは、現在展開中です。5Gは最大32Gbps(下り)、13.6Gbps(上り)という驚異的な速度を約束し、 完全に展開されれば、インターネット接続で光ファイバー通信と直接競合することになるでしょう。また、4Gと比較して、低遅延をはじめ、カバレッジとスペクトル効率の向上も期待できます。

つまり5Gは、4Gをただ高速・大容量にし、性能を向上させただけとも言えます。しかし、 実はそれだけではないのです。5Gは、Zoom、Netflix、TikTokのユーザーにはそれほどメリットはありませんが、IoTの普及には不可決とされる多くの新しい技術を可能にします。

新しい無線「5G」

3GPP は、7つの通信標準化機関により結成されたプロジェクトで、5Gが一般の消費者の要求に応えるだけでなく、企業やIoTの将来の要件にも対応できるよう仕様の検討を行なってきました。これまで国際移動通信(IMT)-2020仕様の詳細を地道にドキュメント化し、体系的にまとめてきました。IMT-2020はまさに5Gのバイブルであり、5Gがどのように構築され、消費者や企業の要求にどのように対応できるのか、その詳細を記述しています。この仕様には、初期ピークデータレート20Gbps、標準ユーザーデータレート100Mbps、遅延1ms、エリアトラフィック容量10Mbps/m²、接続端末密度100万台/km²などが記載されています。

この仕様を見れば、5Gネットワークが高速性(消費者用・商用アプリケーション向け)と高デバイス密度(IoT向け)を組み合わせて構築されたものであることがよくわかります。4Gはこれよりも消費者向けでした(ただし、ネットワークを適切に修正すれば、NB-IoTやLTE-MなどのセルラーIoT技術に対応できます)。5Gの課題がいかに大きいものであったのかは、これまでの端末密度を考えれば理解できます。例えば、東京の平均人口密度は6,000人/km2を超えていますが、ほとんどの人が少なくとも1台の携帯機器を所有しています。もし、その全員がインターネットに一斉にアクセスしたとしても、ローカルネットワークはまだ対応できます。これは驚くべきことですが、5Gが想定しているデバイス密度は、これより2桁も大きいのです。

5Gが消費者とIoTという2つの要求にどのように対応できるのか、そのヒントはIMT- 2020の仕様に隠されています。この仕様は、2つの要素について記述しています。従来のユーザー向けの5G LTE技術、そしてIoT固有の要求などのその他のケースに向けた新しい無線(NR)です。エンジニアはこれらの要素を 「無線インターフェイス技術」(RIT)と呼んでいます。

LTEとNRのRITは、想定される5つのユースケースにおいて、技術上の性能要件をすべて満たしています。

  • 屋内ホットスポット(高速大容量通信(eMBB)を使用)
  • 密集都市部(eMBB)
  • ルーラル(eMBB)
  • 都市部(超高信頼低遅延(URLLC))
  • 都市部(多数同時接続(mMTC))

最後の2つ、URLLCとmMTC関連は、主にIoTをサポートするユースケースです。 LTE と NR は、IMT 用途に特定された 7.125GHz 以下の周波数帯で動作しますが、NR は 24.25GHz 以上の IMT 周波数帯も使用できます。いわゆるアッパーミッドバンド(3.3~7.125GHz)は重要な5G リソースであり、消費者向けや商用に十分なスループットと範囲を提供します。24GHz以上の「ハイバンド」は、高デバイス密度と極めて高いスループットに対応します。

5GテクノロジーとIoT

5Gはセルラー技術である必要さえありません。IMT-2020仕様には、「初の非セルラー5G標準」としてDECT-2020 NRが言及されています。この規格は、1平方キロメートルあたり100万台の端末への同時接続を可能にしており、厳密にはセルラーではありませんが、セルラー方式の多くの技術が採用されています。

DECT 2020 NRは、IMT-2020がいかに包括的に5Gのスコープを規定しているのかがわかる興味深い技術です。この技術は、グローバルで、しかも5Gとしては珍しくライセンスフリーの1.9MHz帯を使用し、無線メッシュやその他のネットワークでmMTCをサポートします。これらのネットワークは、例えば、無数の小型センサやアクチュエータを使用した産業オートメーションなどのような、非常に高い展開密度、高信頼性、低遅延が求められるIoTアプリケーションを支えています。

DECT-2020 NRは、mMTC に使用される他の ワイヤレス IoT技術よりも優れています。例えば、 最大限のノード密度をサポートする場合、この技術は10ms以下の遅延で100kbpsのスループットという最高のパフォーマンスを実現します。まさに一般的なIoTアプリケーションに理想的な性能であると言えます。

5Gは、従来のモバイル通信だけではなく、IoTのような新しいワイヤレス技術もサポートすることを目的に開発された最初のセルラーモバイル技術(非セルラーもありますが)です。6Gはすでに開発中であり、当然のことながら、5Gよりも大幅に高速化されると言われています。6Gでは、100GHz〜3THzの周波数帯を使用し、サポートは消費者向けやIoT向けからAIや完全没入型VRなどの新しい分野にまで拡大する予定です。新世代のモバイル無線規格が10年単位で導入されていることから、2030年には6G対応のスマートフォンの登場が期待できそうです。

 




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スティーヴン・キーピングは、英国ブライトン大学で工学士(優等学位)を取得後、Eurotherm社とBOC社のエレクトロニクス部門に7年間勤務。その後、Electronic Production誌社を経て、13年間、英国、オーストラリアのTrinity Mirror、CMP、RBIにて「What's New in Electronics」、「Australian Electronics Engineerin」誌を含む、エレクトロニクス製造・テスト・設計関連記事の上級編集者・出版者として活躍。2006年、エレクトロニクス専門のフリージャーナリストに転身。現在、シドニーを拠点に活動。


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