ニューテック・チューズデー
35年以上の経験を誇る業界エキスパート・Rudy Ramosが設計エンジニアに向けて面白い・新しい・注目の情報を毎週発信します。
掲載日:2025年1月14日
急速な発展を遂げる自動車業界、その原動力となる車両設計とテクノロジーの進歩は市場に飛躍的な変革をもたらしています。最も重要な進歩のひとつは、自動車設計におけるゾーンアーキテクチャの採用です。この変革には、車両内のデータ、信号、電力伝送に対する高まる需要を管理するための効率的で信頼性の高いコネクタシステムが必要となります。
今週のニューテック・チューズデーでは、Molex の新製品・MX-DaSHコネクタシステムをご紹介します。
このソリューションは、高速データ、信号、電源を1つのコネクタに統合し、従来複数のコネクタが必要であった機能を効果的に置換します。
ゾーンアーキテクチャ とは、車両の電子機器を明確なゾーンに分類し、それぞれを中央コントローラで管理する方式を指します。このアーキテクチャは、車両システムのモジュール性と拡張性を高め、多様な機能や技術の統合を容易にします。しかし、複雑なデータ、信号、電力のニーズに対応できる強固な接続ソリューションも必要です。
従来の接続機器では、データ、信号、電源を個別に処理するために複数のコンポーネントが必要となる場合が多く、その複雑性からパッケージの規模が大きくなり、重量が増加し、コストが上昇するうえ、組み立て工程が複雑になるため、信頼性の問題が発生する可能性もあります。
Molex MX-DaSHコネクタシステムは、高速データ、信号、電源を1つの統合コネクターにまとめ、自動車のゾーンアーキテクチャを最適化するように設計されています(図1)。この機能により、先進運転支援システム(ADAS)、インフォテインメント、GPSナビゲーション、ライダー、カメラシステム、センサ、その他のハイテク機能に必要なデータ量の増加に対応できる車両が実現します。さらに、MX-DaSHシステムは、信号伝送と電力伝送を同じコネクタに統合することで、複数のコネクタを使用する必要がなくなり、設計や組み立て工程を簡素化し、電気自動車(EV)に見られるような複雑な配線システムの管理を容易にします。
図1:Molex MX-DaSHコネクタ:シールド付き・シールドなし―ワイヤ対ワイヤ・ワイヤ対基板設計/0.50mm、0.64mm、1.20mm、1.50mm、2.80mm、4.80mmの端子サイズを提供(出典:マウザー・エレクトロニクス)
MX-DaSHコネクタシステムの主な利点のひとつは、パッケージングを最適化できることです。複数のコネクタを1つに統合することで、配線とコネクタに必要なスペースを全体的に削減します(表1)。この最適化は、スペースが限られていることが多い現代の車両設計において非常に重要です。
表1:Molex MX-DaSHコネクタシステムと従来のコネクタシステムの比較(出典:Molex)
コネクタを統合することで、車両の電子システムの規模と重量も削減されます。これにより、内燃機関(ICE)およびハイブリッド電気自動車(HEV)の燃費向上、電気自動車(EV)の航続距離の増加、そしてあらゆる車両の総合的な性能向上に有益です。
さらに、MX-DaSHコネクタシステムは、必要なコンポーネントの数を減らすことで、システム全体のコスト削減にも貢献します。コネクタの数が少なければ、材料費が削減され、組み立て工程の複雑さも軽減されるため、生産コストを大幅に削減することができます。接続ポイントが少ないため、システムはより信頼性が高く、自動車環境の厳しさに耐えることができます。
Molex MX-DaSH コネクタシステムのような高度な接続ソリューションの採用は、特にゾーンアーキテクチャが普及するにつれ、自動車デザインの進化に不可欠です。この技術は、複数の機能を1つのコネクタに統合することで、製造効率を高め、車両の性能と信頼性を強化します。自動車業界がますます複雑かつ相互接続されたシステムへと進化するにつれ、これらの技術革新は効率の向上と近代化の促進に役立つでしょう。 « 戻る ルディ・ラモス マウザー・エレクトロニクスのテクニカルコンテンツマーケティング部門メンバー。高度電気機械システム、ロボット、空気圧、真空システム、高電圧、半導体製造、軍事ハードウェア、およびプロジェクトマネジメントにおいて35年以上におよぶ経験を持つ。技術担当エキスパートとして、幅広い製品知識に基づき、マウザーウェブサイトの技術コンテンツの執筆・編集を担当し、グローバルマーケティングに貢献。また、各種エンジニアリング系サイトにて技術記事を執筆。テクニカルマネジメント専攻BS(理学士)、プロジェクトマネジメント専攻MBA取得。マウザー以前は、ナショナルセミコンダクター、テキサス・インスツルメンツにて勤務。
マウザー・エレクトロニクスのテクニカルコンテンツマーケティング部門メンバー。高度電気機械システム、ロボット、空気圧、真空システム、高電圧、半導体製造、軍事ハードウェア、およびプロジェクトマネジメントにおいて35年以上におよぶ経験を持つ。技術担当エキスパートとして、幅広い製品知識に基づき、マウザーウェブサイトの技術コンテンツの執筆・編集を担当し、グローバルマーケティングに貢献。また、各種エンジニアリング系サイトにて技術記事を執筆。テクニカルマネジメント専攻BS(理学士)、プロジェクトマネジメント専攻MBA取得。マウザー以前は、ナショナルセミコンダクター、テキサス・インスツルメンツにて勤務。