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プリンタブルセンサー:ヘルス・ウェアラブルの鍵となるか? Liam Critchley

 

利用者に合わせて柔軟に調整できるヘルスケアモニタリングデバイスの活用が定着している1。COVID-19流行により、在宅医療希望者が増えたこと、ならびに、センサーの精度が技術的に進歩したことで、いまやヘルスケア分野ではあらゆるウェアラブルヘルスモニタリングデバイスがユビキタス化している。特に身に着けるタイプのセンシングデバイスやモニタリングデバイスが遠隔医療向けに多く登場してきた。遠隔医療は、ここ数年間で非常に発展している。特に、医師と患者間のやりとりが制限されたコロナ禍においてより一層の伸張を見せた。自宅にいる患者を遠隔地からモニタすることで病院は本来必要となったベッド数を大幅に削減できたのだ。

このようなウェアラブルセンシングデバイスに使われている素材は、ポリマー、薄膜、2D材料、その他のナノ材料など、装着者にフィットする柔軟な素材だ。ヘルスモニタリングデバイスの構成は通常、利用者に優しくフィットする素材と、電子部品(センサー、バッテリー、太陽電池、ナノジェネレーターのようなエネルギーハーベスターなどの電源、中央処理システムにデータを送信する場合の通信技術、および関連する回路など)である。

ウェアラブル技術に適した小型で柔軟性のある電子部品を作ることは、簡単なことではないため、統合しやすさと目的に適している特徴をもつ、さまざまなナノ材料、特に2次元材料などが使われている。一方、あるアプローチが注目を集めはじめている。それは、モニタリング・システムの最も重要な部分であるセンサーをウェアラブル・デバイスに直接プリントする手法だ。

これらのプリンタで製造されたセンサーは、2次元材料や他のナノ材料を活用して作られているが、他の素材を使って作ることも可能だ。ウエラブルヘルスモニタリングデバイスにセンサーをプリントする手法によって、より簡単にデバイスを商品化することもできる。特に、センサーのプリントに従来の安価で使いやすいプリント技術が使われる場合は、なおさらである。

 

なぜセンサーをプリントするのか?

 

ウェアラブルデバイス用の基板上に薄膜センサーを作製できる、様々な高度な蒸着法やナノ蒸着法が存在する一方で、多くのバイオメディカルセンサーは、シルクスクリーン技術を用いて作ることができる。インクジェット印刷や転写印刷など他の技術も活用できるが、センサーをプリントするには、シルクスクリーンが最適と考えられている。

シルクスクリーン装置は、広く入手可能で、比較的安く、高度な蒸着法よりも使いやすい。そのため、プリント技術で作られたセンサーを活用している医療用モニタリングデバイスの中でも、シルクスクリーンで作られたものは、より拡張性が高く、商業化し易い。また、シルクスクリーンは、ポリマー溶液から導電性ナノ材料インクまで、豊富な材料を使うことができるため、多くのセンサーをプリントするための汎用性の高いプラットフォームであると言える。

では、なぜセンサーを製造過程で作るのではなく、プリントで作るのか?シルクスクリーンでは、1つのプリントで同じパターンを大量に作ることができる。そして、シンプルで迅速かつ効率的である。大規模な事業展開や商品化の可能性を考えると、シルクスクリーンは他の方法よりも低コストで大量生産に適している。

シルクスクリーンの性能面については、高解像度のパターン形成が可能で、広い面積にプリントすることができる。また、シルクスクリーンの場合、所定の場所にオンデマンドで材料を供給することができる。この場合、すべてが単一工程で行われるのだ。すると従来の製造方法と比べて、特に事業自体が大規模であれば、廃棄物の量を削減することができる。

このようにプリントを使う方法には、多くの製造上の利点を有する。そればかりか、プリントでセンサーを製造することで非常に薄くなるだけでなく、デバイスの表面へプリントできるようになることから、ヘルスウェアラブルにおける設計に大きな可能性を見出すことが可能だ。

プリント手法は、ウェアラブルの素材マトリックスにデバイスを組み込もうとすることよりもずっとシンプルに達成できる。また、オンデマンドでプリントできるため、よりカスタマイズされたセンサーを作ることができる。さらに、プリント工程を変更することで、一般的な製造ラインよりもはるかに簡単に様々なセンサーを製造できる。

シルクスクリーンに対応する素材は多岐にわたる。そして、作りたいセンサーの種類によって、あらゆる材料が使える。一方では、センサーを作るために、さまざまな金属をプリント可能な導電性インクとして使うことができる。一般的なウェアラブル・ヘルスセンサーに使われている金属は、金、銅、プラチナ、ニッケル、アルミニウム、銀などであるが、プリントで作成されたヘルス・ウェアラブル・センサーのアクティブ・センシング面の場合は、金属だけでなく、さまざまなナノ材料複合材料(グラフェン、カーボンナノチューブ複合材料)、機能性ナノ材料インク、銀複合材料などが使われている。

センサーには、プリントを施されるプラットフォームが必要だ。これは多くの場合、導電性ポリマーを使用することで、センサーが皮膚や他のコンポーネントとよりよく相互作用し、より高い感度と信頼性を保つようにできる。PEDOT:PSSは、プリントで製造されたセンサーの中で最も広く使われているポリマープラットフォームだ。他のポリマー材料としては、ポリアセチレン、ポリピロール、ポリフェニレン、ポリ(p-フェニレンビニレン)、ポリチオフェン・ポリアニリンなどが挙げられる。

 

ヘルスケアモニタリング分野で注目を集めるプリントセンサー

 

プリントで製造されたヘルスセンサーに多くの素材が使われているように、ヘルスモニタリングデバイスにもさまざまな種類のプリンタブルセンサーが使われている。例えば、ひずみセンサーは、動きの一形態を測定するものである。これらを活用したウェアラブルセンサーは、人間の生理学的信号モニタリングや関節運動モニタリングを行うために使うのだ。

別の医療専門分野では、さまざまな生体分子や人間による信号を測定している。非ひずみのセンサーは、目的の生体分子を直接検出するか、患者が示す生理学的パラメータを直接測定する。分子検出の観点からは、血液中の多くの生体分子を検出することができる。一般的なものとしては、グルコース値がある。皮膚上の汗の存在も検出できる。信号検出の観点からは、プリント技術で作られたセンサーは、現在、患者の呼吸と心拍レベルを検出し、遠隔心電図(ECG)モニタリングを行うことができる。

ウェアラブルに応用されているプリントセンサーには、センサーアレイというものもある。複数のセンサーが連動するセンサーアレイでは、より複雑な問題や、複数の刺激角度から分析を必要とする問題を検出する。センサーアレイは、歩行をモニターしたり、車椅子利用者の座位姿勢をモニターしたり、皮膚をモニターしたりするのに役立つ。

最後に、ウェアラブルヘルスデバイス向けのプリント温度センサーの開発も進んでいる。熱感知は、病気検出の重要な領域である。というのも、病気が存在する場合、身体は熱によるストレスを受け、皮膚温度と深部体温の上昇は、深刻な病気の主要な指標となり得るからである。プリント温度センサーを使用することで、ヘルスウェアラブルは、心血管疾患、糖尿病性疾患、肺疾患などの慢性疾患やがんを検出することができる。

 

まとめ

 

ヘルスモニタリングウェアラブルは、多くの患者の健康要因をリモートで測定するための効果的な方法として受け入れられつつある。これらのウェアラブルの最も重要な点は、センサーシステムによる患者の分析である。患者が長時間にわたってヘルスモニタリングデバイスを装着するためには、センサーやその他の部品がウェアラブルな部分とともにフレキシブルである必要がある。薄いナノ材料を使うなどして、柔軟なセンサーを統合することは可能だが、デバイスの表面にセンサーをプリントする方が格段に楽で、材料も少なくて済み、拡張性も高い。

すでにさまざまなプリントヘルスウェアラブルが存在している(商業的にも学術的にも)。今回取り上げたプリントによる製造方法は、ヘルスウェアラブルを広く普及させる道筋を示すものである。多くの選択肢がある中でも、シルクスクリーンは汎用性が高く、さまざまな素材を使って人の健康のさまざまな側面をモニターするセンサーを作ることができるため、主要なプリント技術となっている。つまり、心拍の変化から病気の可能性の検出、血液中のさまざまな生体分子、さらに多くのことまで調べることができるのである。

 

Source

 

  1. https://www.futuremarketinsights.com/reports/wearable-medical-devices-market. Accessed June 15, 2023

 

 

 



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