(出典:AndSus - stock.adobe.com)
私事ですが、少し前に初孫が生まれました。男の子で 名前はハドソンと言います (画像1)。3,000km以上も離れた場所に住んでいるのですが、 テクノロジーのおかげで、毎日孫の成長をつぶさに観察しています。現在、孫は生後10カ月。今はハイハイしたり、伝い歩きをしたりしていますが、 もうすぐしたら、ひとりで立ち上がり、歩き出すと思います。
言うまでもなく、孫にとってひとりで移動できるようになるということは、興味を惹くものに自分から近づくことで、世界が大きく広がることを意味します。このように幼児が自ら成長してゆくのと同じように、自律走行搬送ロボット (AMR) も、周囲の環境に対応して動作するようプログラムされています。今回は、自律走行搬送ロボットが障害物にぶつかることなく、産業環境や倉庫内を移動するためにAmphenol RFの技術がどのように貢献しているのかについてご紹介したいと思います。
画像1: 孫ハドソンの写真 (出典:筆者)
現在、自律走行搬送ロボット (AMR) は、倉庫や産業環境で導入が進んでいます。AMRは、信頼性の高い、24時間稼働できる自己管理型ロボットで、材料や製品の搬送、その管理に活用されており、このような用途・状況において人間と一緒に作業をすることができます。AMRは、反復的かつ複雑で、しかも潜在的な危険を伴う、力のいる作業を効率的に遂行することができます。 赤ちゃんは自分の意思で動けるようになることにより、常に新しいコンテキスト (状況) に置かれることになります。新しく遭遇することに対応するには、自分の五感をフルに活用し、自分のまわりのコンテキストや環境に関する知識を広げてゆかなければなりません。赤ちゃんは視覚、聴覚、触覚、そしてしばしば口 (味覚) を用いて、どうすればその環境を安全に移動できるのかを学んでゆくのです。
ロボットも移動するためには、さまざまなセンサを搭載して、周囲環境に関するデータを集める必要があります。カメラによる視覚がロボットにとっての視力になります。移動中のロボットは、ToF測距センサや赤外線センサにより、接近してくる物体を検知し、衝突を回避するために進路を修正します。またしばしば聴覚信号を利用し、また検知することにより、周囲の情報を収集します。FPGA (フィールドプログラマブルゲートアレイ) やMCUにより、こうした情報を処理し、実行可能な意思決定に変換してゆくのです。
人工知能 (AI) や機械学習 (ML) などの新しい技術によって、自律走行搬送ロボット (AMR) は、どのように走行すれば生産性を最大化できるのかを「学習」することができます。AMRが予期せぬ状況に遭遇しても、その状況に対応し、調整することができるのです。進路を自分で修正し、潜在的な障害物にも妨げられることなく、走行できます。このテクノロジーがロボットに自律性をもたらしています。
自律性とは、ある程度の「自己規制」や「自己管理」によって動作できることを意味します。この自律性によって、外部のオペレーターから独立して稼働することが可能になります。ロボットのプログラミングは、定められた目標に対して常にパフォーマンスを最大化できるよう、意思決定を自己管理できるようにされています。一貫性をもって高次反応、低次反応と見なされるものを評価し、優先順位がつけられるようにもプログラミングされています。センシング、プロセッシング、AIを組み合わせることで、推論に反応する、つまりコンテキストの手がかりを見て、推論に基づき反応できるようになります。AIの一分野である機械学習は、アルゴリズムを使用していますが、データ事例に基づきアルゴリズムを構造記述にします。機械学習によって、ロボットは「学習」できるようになり、推論に反応することで、自律的な動きが可能になります。このように推論に反応することによって、ロボットはヒューマンインターフェイスに依存せずに行動し、機能できるようになるのです。
Amphenol RFはAmphenol Corporationの一部門であり、無線周波数 (RF) 、マイクロ波、データ伝送などの用途に向けた同軸相互接続製品を製造する世界最大級のメーカーです。次世代技術を実現するリーダーとして、接続性の世界的な進歩に常に貢献しています。Amphenol RFは、倉庫・産業環境向け自律走行搬送ロボットのためのソリューションを提供しています。
そんなソリューションの1つが、Amphenol RF AUTOMATE® Type A Mini-FAKRAコネクタです (画像2) 。このSMB同軸RFコネクタは、スペースを重視した高性能なインターフェイスが特徴で、 次世代の自動運転車やロボットなどのアプリケーションに最適です。このシリーズは、最大20Gbpsのデータ伝送に対応し、標準的なFAKRA (Fachkreis Automobil、ドイツ自動車規格) コネクタと比較して、設置スペースを80%削減できます。代表的なアプリケーションには、360°サラウンドビューカメラ、自動運転車 (AV) 、AMRなどがあります。
画像2:Amphenol RF AUTOMATE® Type A Mini-FAKRA コネクタは、最大20Gbpsのデータ伝送速度をサポートし、次世代の自動運転車やロボットなどのアプリケーションに最適です。 (出典:マウザー・エレクトロニクス)
自律走行搬送ロボットには、Amphenol RF AMC4 RA - TNC/RP-TNCジャックIP67ケーブルアセンブリがよく採用されています。この製品は、直角プラグ対TNCおよびRP-TNC IP67ストレート正面実装バルクヘッドジャックのケーブルアセンブリです (画像3) 。1.13mmマイクロケーブルタイプで、ケーブル長には、100mm、150mm、200mm、250mm、300mmがあります。AMC4 RA - TNC/RP-TNCケーブルアセンブリは、金メッキコンタクト、真鍮およびリン青銅コンタクト素材を採用しており、 インピーダンス50Ω、最大周波数6GHzを特徴としています。
画像3:Amphenol RF AMC4 RA - TNC/RP-TNCジャックIP67ケーブルアセンブリは、最大周波数6GHz、インピーダンス50Ωを実現しており、AMRに最適です。 (出典:マウザー・エレクトロニクス)
ロボットが他の機械や人間の間を効率的に移動し、自律して作業ができるようになるためには、ロボットを教育し、周囲の状況から自然に学習する能力を習得させる必要があります。幼児と同じように、ある場所から別の場所へと自分で安全に移動できるようになるまでの過程は、少しずつ前進します。一夜にして完成するものではありません。Amphenolは、ロボットが周囲環境を察知し、インテリジェント接続によって、自律して自由に移動できるようになるためのテクノロジーを開発しています。その詳しい内容については、Amphenolプラグイン動画シリーズをぜひ視聴ください。動画では、その他のトピックについてもさらに取り上げ、利便性、移動性、パワー、スピードの強化に対応する注目製品も紹介しています。
ポール・ゴラータ:2011年マウザー・エレクトロニクスに入社。シニアテクノロジースペシャリストとして、戦略的リーダーシップ、計画の実行、全体的な製品ライン、高度技術製品に関するマーケティング指導などを通じてマウザーの実績に貢献している。また設計技師に電気工学の最新情報やトレンドを伝えるため、ユニークかつ貴重な技術コンテンツを配信し、マウザー・エレクトロニクスの理想的な企業としての地位強化にも貢献している。
マウザー・エレクトロニクス以前は、Hughes Aircraft Company、Melles Griot、Piper Jaffray、Balzers Optics、JDSU、及びArrow Electronicsに勤務。製造、マーケティング、及び営業関連に従事した。DeVry Institute of Technology (イリノイ州シカゴ) にてBSEET (電気工学技術の理学士号) 、Pepperdine University (カリフォルニア州マリブ) にてMBA (経営学修士号) 、Southwestern Baptist Theological Seminary (テキサス州フォートワース) にてMDiv w/BL (神学及び聖書文学修士号) 及びPhD (博士号) を取得。